「塔」

4、より高く
ベッドだけしかないあの部屋。
湿っぽいけどちょっとひんやりしたコンクリートが気持ちよいあの部屋。
相変わらず格子のついた窓から青い湿った光が入ってくる。
鉄の扉もついている。
この前と同じ部屋。
しかも前回と同じくどうしてこの部屋にいるのか皆目見当がつかない。
何も思い出せないのがちょっと引っかかるがとりあえずこの部屋を出てみることにした。


鉄の扉を開ける。
青い光が部屋に入ってくる。
相変わらず湿ってひんやりしているが寒くはない。
目が慣れるのを待つ。


・・・


だんだんと見えてきた光景は、この前とはちょっと違うようだった。
この前はたしか、めのまえに噴水があって、その奥に鉄の扉のついた部屋が10ほど並んでいた。
今回はちょっとちがう。
まず、噴水が無い。
部屋は横に並んでいるのだが、それと並行に1mくらいの白いブロックの塀がある。
ちょうどマンションの2階より上で部屋から出ると壁というか廊下から落ちないようにするための柵があるようにへやをでると塀がある。
塀の向こう側をみると同じように部屋が並んでいて、ちょうどマンションが向かい合っているようである。
噴水は、というと下にあった。
塀の上に身を乗り出して下を見るとあの噴水が見える。すぐ下だった。