「レディ・メイド」なるもの

C_Wang19802005-01-25

マルセルデュシャン展@横浜美術館

今日は美術館に行ってきました。
比較的近いみなとみらいの横浜美術館
そんな手の届くようなところでマルセル・デュシャンの展示会をしているとのことだったので見に行ってみました。


マルセル・デュシャンはフランスの現代芸術家で有名な作品には「泉」と題された便器があります。
自分でモノを作らなくても、あるものに意味をつけて芸術作品とする、そんなことをやった面白い人です。コンセプチュアルアート(コンセプトありきの芸術)とか言うそうです。


もともと作品の点数が少ないせいか、70点ほどの作品の展示でした。
数こそ少なかったのですが、面白かったのはマルセル・デュシャンに影響されたり、真似してみたりした後世の芸術家の作品も一緒に展示され、比べながら見れるようになっていたり、作品の批評を書いてみれたりと楽しませる工夫が沢山施されていて見ごたえ十分でした。


展示の中で最も面白かった作品が最初に出てくる便器に代表される既製品(レディ・メイド)を使ったもの。
便器の他にもシャベル、メモ書き、自転車の車輪、定規、窓枠などなどさまざまな既製品にサインが書かれただけの作品が並んでました。
その辺にあるものでも意味ありげなタイトルをつけてコンセプトを加えてやれば立派な芸術作品になる。そんなテーマの作品達でした。
そんな作品の一部とそれについてあれこれ考えたことを書いてみます。

・便器→「泉」便器は男性用の立小便できるやつで、それが寝かせて展示されてます。
意味はよくわからないけどタイトルが「便器」でないだけ普通ではありません。汚い便器をきれいな泉に見立てる、その価値観の変化がコンセプトなんだろうと考えました。
・窓枠→「Fresh Window」
まだ家に取り付けられていない、生まれたままの“新鮮な”窓枠。そんな意味?製品が新鮮である、という考え方が好き。
・宙吊りのシャベル→「アリスの折れた腕」というタイトルがついています。
正直意味がわからなかったのですがとりあえず意味が付けられた既製品です。



こういう作品を見ていると思わずその作品の意味を解いてやろうとあれこれ考えてしまいます。見せるだけでなくとことん見る側に考えて楽しんでもらえる芸術。こういうわけわからんことをやることで芸術家と見る側が作品を通じて対話することが出来ます。
双方向のコミュニケーション、みたいな。


真似しようと思えば簡単だけど最初にやるのはやっぱり偉い。
今日は「一つのスタイルの誕生」を見ることが出来ました。


[写真]公園のほのぼのレディ・メイド HOLGA F8 1/100 KODAK ULTRACOLOR ISO400